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備前焼 陶吉

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お知らせ

   2015年11月19日

ホームページをリニューアルオープンいたしました。

今後とも陶吉を宜しくお願いします。

備前焼。そのドラマチックな歴史

ルーツ(なりたち)編 歴史深い伝統工芸『備前焼』の原点とは・・・?

誕生 須恵器(すえき)がルーツ

5世紀ごろより、朝鮮伝来の高い技術による土器=須恵器が我が国の各地で生産されていた。須恵器はロクロで成形し、穴窯により高温で焼かれていたため硬く丈夫で、当時の土器(弥生式土器)に比べて利用価値が高く貢納品の上位におかれた。この須恵器こそが備前焼のルーツであるとされるが、当時は現在の伊部(岡山県備前市)ではなく南側の邑久郷で盛んに焼かれていた。 

発祥地は“聖地”熊山だった

発祥地は“聖地”熊山だった

平安時代末期の政権の衰退にともなり、陶工たちは豊富な土や薪を求めて、当時霊峰として人々の信仰を集めていた、標高500mの熊山(岡山県熊山町)へと移った。この地で霊験を信じながら祭祀道具や瓦を焼いていたと見られ、熊山には当時の窯跡が多数残っている。さらに初期備前とされる擂り鉢や大甕は大胆でおおらかさあふれる造りとなっており、今日の備前焼の原点であることを思わせる。 

製品の圧倒的シェアを確立していた『擂り鉢』

製品の圧倒的シェアを確立していた『擂り鉢』

貿易・流通の盛んな新しい時代が到来。鎌倉~室町時代である。備前焼においては甕・壷・擂り鉢などの日用雑器が好調に売れ、陶工たちも次第に交通不便な熊山から里へと下りて現在の伊部の地へと築窯をはじめた。当時は生活雑器の擂り鉢が主流で「備前の擂り鉢投げても割れぬ」と唄われるほど優れたものであった。

備前焼に『侘び』、『寂び』を見い出した僧侶

備前焼に『侘び』、『寂び』を見い出した僧侶。

室町中期8代将軍足利義政の世、奈良称名寺の僧侶村田珠光の提唱する『侘び茶』がはじまる。侘び・寂びの境地を尊ぶこの茶道に見立てとして起用されたのが備前焼の水指や建水であった。珠光は「茶陶では備前焼が最高」と高く評価した。 

茶人『千利休』も愛用する

茶人『千利休』も愛用する。

桃山時代、侘び茶を『草庵茶』として完成したのが千利休である。利休は好みに合う茶陶を備前の陶工に注文して作らせ、華やかな茶会、茶席の名物として登場させた。また利休は時の将軍織田信長、豊臣秀吉にも仕えたことから、彼らもまた備前焼に興味を示し、愛用。窯元保護にも乗り出した。 

長さ50mの大窯

長さ50mの大窯

同じく桃山時代に 西・南・北の三つの大窯にて共同制作されるようになる。巨大な大窯にたくさんの製品を詰めて1ヵ月ぐらいかかって焼き上げた。この時代いかに備前焼がもてはやされていたかがよくわかる。そして、窯元ごとの目印(窯印)をつけて作品を判別しはじめたのもこの頃からである。

苦難からの復活編

備前焼に衰退の危機

備前焼に衰退の危機。

桃山後期より茶の湯は「大名茶」に移り、造形的な「織部好み』・優雅な「遠州好み」へと趣向が変化する。これにあわせて備前焼にも鑑賞用などの細工物・伊部手・彩色備前・白備前などへの変化を余儀なくされる。さらに磁器の台頭や類似品の出現、明治・大正時代の洋風文化流行という時代の流れに押されるなど、備前焼が衰退の危機にさらされるという苦難の時期もあった。

備前焼の新たなる旅立ち

備前焼の新たなる旅立ち。

日本の国際的地位が上がるにつれ、伝統文化を見直そうという風潮にのり、再び古陶のへの関心、需要が高まりをみせはじめた。作家たちも個性的・芸術的な作陶を試みるものが現れる。戦後、国・県も備前焼などの伝統工芸品を保護育成しようとその振興を図り、優れた作家は無形文化財に指定した。 

日本六古窯のひとつとして不動の存在に

日本六古窯のひとつとして不動の存在に。

昭和31年備前焼隆盛の礎をつくった金重陶陽が人間国宝に認定され、備前焼の需要に復活の兆しが現れ始めた。また芸術家イサム・ノグチ、バーナード・リーチ,北大路魯山人他などの著名人が多数来窯し、賞賛。日本六古窯のひとつとして備前焼が全国に広く親しまれ、評価される契機となった。

備前焼のいまとこれから

備前焼のいまとこれから。

むかしむかし『須恵器』から出発した備前焼は、“土器”として生まれたその素朴さと力強さを引き継ぎながら、優れた技法を備えた作家と炎の芸術とによってこれからも継承され続けてゆくのである。

いまでは、陶器ブームとナチュラル指向の高まりに伴い、自然さが自慢の焼き締め器がトレンディ化され人気を呼んでいる。そして嬉しいことに若い世代にも関心が広まりつつある。海外では日本の“和”の文化を気軽に取り入れられる逸品として、「備前焼は最高!」と絶賛されている。

現代の人間国宝

伊勢崎 淳

『いせざき じゅん』 

昭和11年生まれ 

茶陶・オブジェなど意欲的に挑み、茶入・水指等は茶人にも絶賛。名実共に今期を担う代表作家。